夜中、ふくらはぎに突然の激痛で目が覚めた経験はありませんか。筋肉は石のように硬くなり、数秒から数分でおさまっても、痛みは長く残ることがあります。多くの人は「カリウム不足」だと考えますが、実際はもっと複雑で、そして多くの場合それほど心配のいらないものです。

原因は何か

こむら返りは、筋肉が自分の意思とは関係なく強く収縮し、すぐにゆるまない状態です。はっきりした仕組みはまだ解明されていませんが、電解質の異常よりも、筋肉の疲労と神経(運動神経)の過剰な興奮が主な要因と考えられています。就寝中は脚が長時間動かず、つま先が下を向くと一部の筋肉が縮んだ状態になり、つりやすくなります。加齢(40代以降)、妊娠、長時間の立ち仕事や座りっぱなし、一部の持病や薬も頻度を高めます。

カリウム神話

「こむら返り=カリウム不足」と長く言われてきました。しかし、夜間のこむら返りを起こす人の多くは、カリウム・カルシウム・マグネシウムの値が正常です。これらのミネラルは筋肉と神経に不可欠ですが、本当に欠乏している場合はこむら返り以外の症状も伴うのが普通で、夜間のつりの大半を説明しません。

マグネシウムは効く?

マグネシウムはよくすすめられますが、根拠は控えめです。成人を対象にしたランダム化比較試験では、マグネシウムの錠剤はプラセボ(偽薬)と比べて有意な差がありませんでした。欠乏が確認されている場合は補う意味がありますが、必要かどうか分からないまま飲んでも効果は保証されず、副作用の可能性もあります。サプリを始める前に専門家に相談してください。

ストレッチは効く?

就寝前のふくらはぎのストレッチはよくすすめられますが、効果の証拠は限定的で、ある試験では明らかな効果が見られませんでした。とはいえリスクは低いため、試す価値はあります。数分でよいので、無理なく続けることが大切です。

キニーネと注意点

キニーネはこむら返りの頻度と強さを減らすという中等度の証拠がある唯一の薬ですが、アメリカのFDAは2010年、重篤で命にかかわる副作用のリスクのため、こむら返り目的の使用に警告を出しました。自己判断で使わないでください。

つったときの対処法

まずは、つった筋肉をやさしく伸ばします。ふくらはぎなら、つま先をすねの方へゆっくり引き寄せます。急がず、痛みのない範囲で。立ち上がって少し歩くのも有効です。おさまった後は、軽いマッサージや温めが心地よい人もいます。

予防のコツ

  • 就寝前に無理のない範囲でふくらはぎを軽く伸ばす(証拠は限定的だが低リスク)
  • 適度な運動を習慣に。運動しすぎも動かなさすぎも避ける
  • 長時間立つなら足に合う靴を選ぶ
  • つま先が下を向きすぎない寝姿勢に。枕などで脚の位置を少し変えるのも一案
  • 十分な水分補給(万能ではないが健康的)

受診の目安

ほぼ毎晩ある、とても強い、長く続く、睡眠を妨げる場合は相談を。さらに、筋力低下やしびれ、感覚の変化、歩きにくさを伴う場合、片脚だけの強い腫れ・赤み・熱感・持続する痛みがある場合は、単なるこむら返りと決めつけず受診してください。新しい薬を始めてから増えた場合も、医師に伝えましょう。

まとめ

夜のこむら返りは多くの場合、カリウム不足でも重い病気でもありません。原因は複数が重なることが多く、小さな工夫で頻度を減らせることがあります。体のサインに気づき、必要なときに適切に対処することが、いちばんの近道です。